化学工業における生産支援システムの将来像－“人とコンピュータの機能相互補完と能力向上の仕組み作りへ”

摘要

化学プロセスでは高温·高圧のもとで，場合によっては引火性や爆発性のある物質を用いて単位操作を行うので，異常が発生すると極めて不安定で，危険な状態になる。機器や設備が不調や故障に陥った場合，危険を回避するために，事前に想定できるものについては，自動あるいは手動での対応がなされるが，すべての場合を網羅しているわけではない。組み立て加工型においては，もともと生産支援システムは人の技能を補完するものという考え方が浸透しているが，素材生産型である化学工業においては，省力化を追求すると自動化が極限まで進み，それに伴って生産コストも下がると考える傾向があり，技能の空洞化に行き着くという危険性もある。