10年間の海洋環境下でのステンレス鋼の耐食性

摘要

各種ステンレス鋼について，直接暴露および間欠浸漬の海洋環境下で10年間の耐食性評価試験を行い，以下の結果を得た．（1）発銹ランクは，直接暴露，間欠浸漬のいずれの環境でも，5年材との差はほとんどなく，意匠性を判断する外観については使用初期の段階でほぼ決定する．（2）最大食孔深さは，－5年材と比較し，特に直接暴露環境下での低PRE材で大きくなっており，海洋環境中でのステンレス鋼の腐食の進行は，主として食孔の成長によるものであることを確認した．10年間の試験での最大食孔深さは，SUS316Lで0.07mm程度，SUS304Lでも0.15mm程度であった．（3）試験環境によらず，発鋳ランク，最大食孔深さともPRE（Cr＋3.3Mo＋16N）で良く整理でき，この数億が37を超える鋼種では，発疎がほとんど認められず，また食孔深さも小さく，海洋環境下で良好な耐食性，意匠性を有する．