多発嚢胞性陰影を呈したhuman T-cell leukemia virus I関連気管支肺胞症/細気管支肺胞異常症の1剖検例

摘要

症例は79歳女性.姉の成人T細胞白血病発症を機に実施したhuman T-cell leukemia virus l(HTLV-l) 抗体スクリ一ニング検査で抗体陽性が判明した.high-resolution computed tomography (HRCT)で小葉中 心性小粒状陰影，気管支血管束の肥厚と両側上肺優位に大小不同の多発嚢胞性陰影を認め，9ヶ月間の経過 で多発嚢胞の増大および増加とともに呼吸不全が進行し死亡した.病理解剖では胸膜直下に肺胞腔の虚脱と 線維性癒着，線維化内部に牽引性細気管支拡張と膜状器質化を伴う嚢胞性変化を，細気管支壁?肺胞胞隔に 異型のないTリンパ球の軽度の浸潤を認めた.また，Southern blot法でHTLV-Iのprovirusは検出されず， HTLV-I関連気管支肺胞症/細気管支肺胞異常症と考えられた.本症において多発嚢胞性陰影を呈した報告は まれであるため報告する.