造園工事の特性と現在の造園施工界

摘要

作庭を伝統的な基本技術として発達してきた日本の造園は，植物や石をほじめとするさまざまな自然の素材を活用し，人にとって望まれる理想的な空間や景をつくることをめざしてきたといえる。 そして，造園は囲まれた庭園空間から対象とする領域を拡大することによって，私的な庭から公園などの公共的空間へ，さらにより広範囲な都市空間，自然空間などまでに及ぶ総合的なオープンスペースをつくる技術へと発展してきた。 この多様な造園空間を建設する造園施工技術も，比較的小規模な作庭からはじまり，公園緑地等の公共造園による工事の大型化により，敷地造成をはじめコンクリート構造物や舗装などの土木的工事から四阿,休憩所などの小建築物，給排水設備，電気設備など多くの工程をとりこみながら，総合建設業的な工事を行うように発展をしてきた。