教訓の解釈に求められる慎重さ

摘要

防災体制や災害対応の整備に際し,過去の災害から得られた教訓を十分に活用することの重要性は，多くの人が理解し強調するポイントだと思います。一方で，現代の碩学であるジャレド?ダイアモンドは，文明崩壊という著書の中で，「過去から学ベることは少なくないが，その教訓の取捨や解釈には慎重を期さなくてはならない。」と指摘しています。災害対応において，過去の災害から得られた教訓を大切に活用することの重要性は言うまでもないものの，ダイアモンド氏の言う「取捨や解釈の際の慎重さ」にっいて，実際の災害から得られた教訓に対応するプロセスの中で具体的に考察されたことは，今まであまりなかったょうに思われます。本稿では，その「慎重さ」の一端にっき，考察してみたいと思います。