オリビン型マンガン酸化物Mn_2Ge_O4における磁性及びマルチフェロイック特性の圧力印加効果

摘要

本稿において，マルチフェロイック特性を示すオリビン型マンガン酸化物Mn_2GeO_4を対象としたマルチプローブ研究（量子ビーム回折実験とマクロ物性測定の融合）の紹介を行った。また，低温高圧下単結晶中性子線回折実験といった特殊な実験方法も紹介した。高圧下物性測定から得られた強誘電性一常誘電性転移の起源を探るため，らせん磁気構造を反映する格子非整合磁気ピークの変化を追うのに適切なプローブである中性子線回折を用いた。高圧下粉末及び単結晶中性子線回折実験を行ったところ，格子非整合磁気ピークの圧力依存性が観測でき，3つのシナリオを提案する；①格子非整合な磁気ピークのみが抑制される，②格子非整合-整合転移による強誘電性が消失する，③結晶構造相転移が生じ，高い対称性を有する空間群に転移し反転対称性が生じる.