京コンピュータが拓く高圧力の物質科学

摘要

筆者が大学院生だった1980年代後半時代から現在までに，スーパーコンピュータのスピードや記憶容量は100万倍以上向上し，それにあわせて数々のシミュレーション手法が開発され，計算科学の守備範囲が大きく広がった。「京」の完成と戦略機関の活動はこの流れをさらに加速し，遠からず高圧力下の物質科学研究にも変革がもたらされるだろう。本稿では第一原理電子状態計算を中心に計算科学的手法の現状とHPC環境の変化がもたらした進展を紹介し，今後の展望を述べる。