豊かな最晩年をつくる--サービス業としての老人病院における顧客満足の仕組みづくり

摘要

東京といっても，奥多摩の山々をくっきりと見渡すことのできる，都心部から約50キロ離れた青梅市に当院はある。 当院は，1980年2月，現在の当会理事長である大塚宣夫によって設立された老人病院である。 当時，精神科の勤務医だった大塚は，友人からの依頼で老人病院を見て回ったが，老人病院の3K（汚い，暗い，臭い）の惨状にたいへん驚き，「自分の親を安心して預けられる施設づくり」を思い立った。 そうして創設された147床の病院は，そのあと何度かの増築増床を行い，現在では約800床の規模となっている。 これだけ多くの病床数を抱えているが，幸いなことに常時満床となっており，そのほかに入院をお待ちいただいている方が数多くいらっしゃる。在院されている患者様のほとんどは亡くなるまで当院で過ごされるので，入院するまで数カ月，あるいはそれ以上お待ちいただくような方もある。