新段階に入る新興国台頭への対応－国内設備の集約とグローバル展開進む－

摘要

前節までに述べた米国石油化学工業の構造変化は，とりわけ金融危機後の需給の急落を挟む最近3年間に流れを加速する新局面を迎えていることがうかがえる。以下では，米国石化·プラスチック産業の主要企業の近況を，M＆Aや生産·設備動向などを手がかりに概観し，今後の再編方向を考察する。その前に，できるだけ最近の資料でエチレン生産の動向と会社·工場別の設備動向をみておきたい。まず，エチレン生産は，第1表にみるように，1970年代に1000万トンを超えたのち，1980年代後半に1500万トンを上回り，1990年代半ばには2000万トン，1990年代末に2500万トンと，1970年代の2倍半に到達した。