化学企業における新グローバル戦略と課題海外の成長を取り込む戦略が企業価値を決定

摘要

わが国の化学産業，とりわけ石油化学コンプレックスを保有する大手総合化学企業は1980年後半のバブルの頂点から，それまでの過剰設備投資による企業価値の減損に悩まされてきた。 暗黒の90年代を通じて1各社は事業の選別，余剰資産·人員など過去にみられなかったような大きなリストラクチャリングを実行した。 この結果，2000年以降の企業財務力は，それまでの大きな特別損失計上という集中治療から回復し，改めて中期，長期をにらんだ戦略を打ち出すことが可能な体質ができ上がったというべきであろう。