耐食性チタン合金TICOREXの特性と使用例

摘要

チタン合金TICOREX（Ti-0.5％Ni-0.05％Ru）中に含有されているNi及びRuの耐食性への影響を調べ耐食性向上メカニズムを解明した。 ミクロ組織調査から，NiはTi_2Ni金属間化合物としてαマトリックス中に析出し，RuはそのTi_2Ni中に濃縮していることが判明した。 5％HCl溶液中で腐食している工業用純チタンにTi_2Ni電極あるいはTi_2Ni-Ru電極をつなぐと，純チタンの自然電位は不導態域まで上昇した。 これは，チタン表面でのカソード反応を促進させ腐食を防止する機構を利用している。 Ti_2Ni中に濃縮されたRuはTi_2Niの耐食性を上げると同時にTi_2Ni単独より遙かにカソード反応を促進することが分かった。 次いで，本合金の全面腐食性,隙間腐食性と機械的性質について述べた。 更にTICOREXの使用例としてソーダプラント，製塩プラント，石油プラントでの使用例についても触れた。