チタン合金の疲労データシー卜

摘要

チタン合金の疲労データシートというテーマで解説を行ってきたが，重要な点を整理すると以下のようになる。（1）チタン合金に閑じてはこれまでにTi－6Al-4V合金を中心に計9冊の疲労データシートを発行しているが，低サイクル域からギガサイクル域までの疲労特性データを提供している。また，平均応力効果に関するギガサイクル疲労データシートが今後2冊出版される予定である。（2）Ti－6Al－4V合金では107回付近で疲労限が観察されない場合が多く，その場合には低寿命域では表面破風長寿命域では内部破壊となる。また，R＝-1の試験で疲労限が観察される場合でも，R≧0の試験では内部破壊により疲労限が消滅する。（3）Ti-6Al-4V合金では介在物ではなく，ファセットの集合体が内部破壊の起点となる。ファセットはα粒内に形成されたせん断型の初期き裂であり，をれらの集合体である起点部の大きさは100μm以上である。また，内部破壊の場合でも明瞭なフィッシュアイが形成されない琴合があるが，をの場合にほファセットの有無が内部破壊を判定する上での重要な着眼点である。（4）繰返し速度の影響に関しては，表面破壊の場合には影響が大きいが，内部破壊の場合にほ無視できるほど小さい。このことは，ギガサイクル疲労特性の評価に超音波疲労試験が有効であることを意味している。（5）このようなTi－6Al-4V合金のギガサイクル疲労特性を理解するた鋸こは，2重S－N曲線の考え方を基礎とすべきである。