モーリタニアにおける地質·鉱物資源情報の整備とその活用

摘要

発展途上国からの鉱物資源供給は，徐々に拡大してきている．鉱物資源ポテンシャルを有し，鉱物資源生産物を輸出する発展途上国において，経済発展への鉱業分野の貢献度が大きなウェイトを占める国も少なくない．そのような国において，鉱業を促進していくためには，探査·開発への投資が重要な役割を担う．そのためには，投資環境が整備されることが必要である．国内外の探鉱·鉱山開発事業者への地質，変質帯 k徴地，地化学·物理探査情報などの鉱物資源ポテンシャルに関わる情報や鉱区設定の手続方法，さらに電力や水供給，採掘された鉱石の輸送など，基本的なインフラなどの情報を提供することが，投資に結びつき，鉱業の促進に不可欠である．また，探鉱·開発地域の気候，植生，地理的条件や環境情報なども，探査·開発するための基本情報となる．しかしながら，現在の途上国における鉱物資源の基盤情報の整備は十分とは言えず，資金不足，技術的問題，人的資源の不足などから独自に進める事はほとんど困難な国が多い．しかし最近国際援助機関やドナー国の支援によって，情報整備が行われつつある．モーリタニア?イスラム共和国（以下，モーリタニア国）も経済発展と鉱物資源が重要な位置付けにある国のひとつである．