高温超電導磁力計を用いたTDEM法装置（SQUITEM）の現場適用試験

摘要

主としてベースメタルを対象としたTDEM法探査の探査深度と導電性鉱体に対する検出能力を向上させるために，高温SQUID磁力計に基づくTDEM法装置（SQUITEM）を開発した。 SQUITEMは3チャンネルシステムであり，磁場3成分を同時に測定するモードと，2点の磁場1成分とそれらの磁場偏差を同時に測定するモードの，2つの測定モードを有する。 SQUITEMの開発進捗やその実用性を評価するために実施した幾つかの現場適用試験の内，観音堂鉱床での結果とマラケシュ·テクナ地域での結果を示した。 SQUITEMとTDEM法の従来装置（PROTEM）による探査深度を比較するために，SQUITEMの磁場一時間曲線とPROTEMの磁場時間微分一時間曲線を用いてデータが取得できた時間を比較した結果，概してSQUITEMの方が遅い時間までデータが取得できており，基本的にはTDEM法の従来装置よりもSQUITEMの方が探査深度が大きいことを示した。しかし，現場適用試験により，環境ノイズの大きい所では機器動作が影響を受け正しいデータが取得できない等，実用化に向けた問題点も確認された。 環境ノイズ対策に加え，操作性·可搬性を改善して，実用的な装置として完成させる予定である。