別府--島原地溝帯外部に分布する浅熱水性金鉱床のK-Ar年代

摘要

別府--島原地溝の外側に分布する金鉱床の形成時期を明らかにすることを目的にして，熱水変質岩および石英脈から分離したセリサイト，カリ長石，あるいは明礬変質岩，計11試料のK－Ar年代を測定した。 その結果，緒方鉱床から2.61±0.06，2.74±0.13Ma，金井星野鉱床から2.48±0.06，2.75±0.06Ma，玉来鉱床から3.55±0.12Ma，旭鉱床から3.59±0.09，3.53±0.10Ma，真金鉱床から2.87±0.23Ma，宇佐鉱床から3.54±0.08Ma，山浦鉱床から3.92±0.09Ma，馬上鉱床から8.05±0.24Maの年代値が得られた。 馬上鉱床の花崗岩を原岩とする熱水変質岩のセリサイトの8.05±0.24MaのK－Ar年代値は，残存している白雲母の混入により年代を古くさせていると推察した。 すでに報告されている年代値と本研究で得られた年代倍を比較·検討した結果，別府--島原地溝の外側全域にわたって，金鉱床母岩は中新世末期から鮮新世にかけて形成されたことが分かった。 一方，金鉱床はやや遅れて，鮮新世の約150万年間（3.92～2.48Ma）に形成されたことが明らかになった。