シリレン架橋したビス-およびモノシクロペンタジエニル配位子をもつ新規二価ランタノイド錯体の合成と重合挙動

摘要

当研究室ではこれまでC_5Me_5、アニオン配位子ER（E＝O，S，NR'）および中性配位子"C_5Me_5K"を有する二価サマリウム錯体1がエチレンおよびスチレンの重合に対して非常に高い活性を有しており、さらにエチレン·スチレンの共重合においては一段階でブロック共重合体を与えるという従来のメタロセン錯体には見られなかった特徴を示すことを報告してきた。しかし、本重合反応の機構については、錯体1の溶解度が低いことや、希土類錯体が配位子の再配列を起こし易い等の理由により検討を行うことが難しく、その詳細についてはいまだ明らかになっていない。 そこで、今回我々は1が有している3種類の配位子のうち2個をシリレン基で繋ぐことにより、配位子が重合反応に与える影響について検討し、反応機構についての知見を得ることを目的とした。 まず、2個のC_5Me_4配位子をジメチルシリレン基で架橋した配位子を用いて1と同型の錯体を合成し、エチレンの重合を試みた。 次に、C_5Me_4とアニオン配位子（NR，PR）をシリレン基で架橋した配位子を用いて、錯体の合成および構造解析を試みたのであわせて報告する。