ユウロピウム錯体と還元性有機分子を共分散したシリカ系複合体の永続的ホールバーニング特性

摘要

近年高密度光記憶材料としての応用が期待されている永続的ホールバーニング（Persistent Spectral Hole Burning，PSHB）材料の実用化には、高温でのホール形成とその保持が最も大きな課題となっている。 これに対し最近、Euイオンをドープしたガラスにおいて室温のPSHBが観察され［1,2］、その機構はEuイオンの3価から2価への光還元によると考えられている。 一方、当研究室ではEu~（3+）イオンのクラウンエーテル錯体をゾルーゲル法によリシリカゲル中に導入した希土類錯体分散有機-無機複合体が、Eu~（3+）イオンのみを導入した場合に比べ、良好なホール形成速度と保持能を持つことを見出している［3]。 今回は、Eu~（3+）イオンの光還元反応を促進すると考えられる種々の還元性有機分子を上記希士類錯体分散有機-無機複合体中に共分散し、それらのPSHB特性に及ぼす効果を検討した。