硫酸溶液中の軟鉄の腐食抑制に関するニゾラールとヨウ化物イオンの影響

摘要

0.1M H2SO4中の腐食抑制剤となる抗真菌薬ニゾラール（NZR）の存在下，0～50℃で軟鉄腐食が重量ロス法によって測定された．得られた結果から，NZRは硫酸溶液中で軟鉄の抑制剤となることが示された．抑制剤濃度の上昇で抑制率は高くなるが，温度上昇では低下した．KI添加はNZRの抑制をかなり向上した．また実験結果では，溶液にヨウ化物イオンの存在が軟鉄表面でニゾラール分子の吸着を安定化し，抑制効果を改善することを示した．抑制剤の吸着特性はラングミュア吸着等温線及びEl-Awadyの動力学/熱力学的吸着モデル等に近似した．物理吸着機構は計算された活性化及び熱動力学パラメータから提案された．