貯血式自己血輸血における保存前白血球除去：術後下驗浮腫と下肢疼痛による評価

摘要

貯血式自己血輸血における保存前白血球除去に明らかな利点は証明されていない.我々は白血球除去（白除）フィルター使用により保存自己血の血小板由来microparticle (PDMPs)の蓄積を防止できることを報告した.PDMPsは炎症励起作用を持っており'PDMPsを除去することにより局所の炎症発生を抑制することが期待できる.本研究では整形夕ほ斗手術の自己血輸血患者において，白除フィルター使用が術後の下肢疼痛および浮腫発生に及ぼす影響を検討した.同意取得して，白除フィルター使用（白除）群と非使用（非白除）群に無作為に割り付けた.2002年10月より2009年3月まで6ほ人が登録され，49例を除く 566例（白除群279例，非白除群287例）について， 術後3日以降の下肢の疼痛と浮腫の有無を評価した.術後下肢の浮腫や痛みを訴えた症例は白除群94例（34%),非白除群132例（46%)と，白除群で有意に低かった（p<0.01).股関節手術群での解析でも同様に白除群で有意に低かった（p=0.01).白除フィルタ一を使用することにより自己血輸血患者の術後の下肢痛や浮腫を軽減する効果があると考えられる.