臨床研究で画像を取り扱うコッ

摘要

これまで画像研究を行ったことのない研究者が，新たに画像研究をスター卜する際に押さえておくべきポイントを，論文投稿の際に問題となる点を中心に解説した.1)モダリティの選択：MRI, PET, SPECT, MRS など現在利用可能な多くの画像モダリティが存在し，研究のねらいに応じて選択することになる.それぞれのモ ダリティの長所と短所について述べ，画像を研究計画に加えることで得られる情報について解説する.また最近 では複数のモダリティを組み合わせた研究も行われているが，その際の注意点についても述べる.2)統計手法： 画像情報を取り扱うにあたっては，群間比較を可能にするための画像標準化や適切な統計閾値の設定など，特別 な前処理と統計手法が必要となる.そのために様々な画像統計解析ソフ卜が開発されているが，最も普及してい るStatistical Parametric Mapping (SPM)について，導入方法，機能と論文投稿の際に問題となるパラメーターの 設定について解説する.3)結果の解釈：精神疾患を対象とした画像研究の結果では，通常健常者と比較して有 意な変化を示しているか，あるいは症状と相関して変化している解剖学的部位についての情報が得られる.考察 では，その結果が対象としている精神疾患の病態生理とどのように関連しているかを述べることになる.その際 には，精神疾患を対象とした画像研究だけでなく，健常者を対象とした画像研究や損傷脳研究，動物実験の結果 なども参照しつつ考察することになるが，画像研究の分野の論文で一般的に行われている考察のパターンについ て紹介する.