神経ペプチドPACAPによる精神機能調節一精神疾患の創薬への展望

摘要

本稿では，遺伝子欠損マウスの表現型から予想外の機能として見つかった，神経べプチドpituitary adenylate cyclase-activating polypeptide (PACAP)による精神行動の調節作用を中心に，これまで我々が実施して きた研究結果について述べる.また，PACAPあるいはその受容体遺伝子の一塩基多型やコピー数変異と，統合 失調症ゃストレス関連疾患等との開連を示す臨床研究に基づく最近の論文報告を紹介し，PACAPシグナル系に よる精神?神経機能調節に関する研究の現状をまとめ，これからこの研究領域が目指す方向性と精神疾患の創薬 の可能性について展望する.