ISPコストを削減するための重回帰分析に基づくオーバレイルーティング手法

摘要

オーバレイルーティングは，オーバレイネットワーク上で行われるアプリケーションレベルの経路制御技術であり，遅延時間，利用可能帯域，TCPスループットなどを指標として経路選択を行うことで，エンドホストが享受する性能が向上することが知られている．一方で，IP層で行われるルーティングとのポリシの違いにより，ISPの金銭的コスト構造に悪影響を与える，ただ乗り問題が発生することが考えられる．本稿では，オーバレイルーティングによるユーザ性能を向上しつつ，ISPへの悪影響を削減するオーバレイルーティング手法を提案する．提案手法は，ISPのコストに直結する経路上のトランジットリンク数を他のメトリックによって推定するための重回帰分析を行い，得られた推定式を用いてオーバレイルーティングを行う．PlanetLabノード間の計測結果を用いた数値評価により，提案手法がISPのコスト悪化を低減しつつ，ユーザ性能を向上することが可能であることを示す．