効率の良い秘密分散断片の誤り位置特定および訂正プロトコル

摘要

秘密分散に基づく秘密計算は，複数のサーバに元データから生成した断片を分散保管し，各サーバが協調して演算を行うことで，元デ一タを秘匿したまま演算結果だけを出力することができる．しかし，通信障害等により，あるサーバが持つ断片と他のサーバが持つ断片に不整合が発生した場合，利用者に正しい計算結果を返すことができなくなる．また，データの不整合を確認するために，断片を集めてしまうと元データの秘匿性が保てないという課題がある．そこで本研究では元データを秘匿したまま不整合の発生した断片を特定し，復旧する方式を提案する．従来の断片不整合検出手法は，断片の集合における不整合の有無のみを出力するものであった．この手法で不整合の位置を特定するためには，二分探索を繰り返し不整合の有無を調べて位置を特定するため，多くの通信と計算が発生する．これに対して，提案方式では，誤り位置と値を出力可能な符号理論を秘密計算に適用し，二分探索を不要にすることで，通信量·計算量の削減を実現した．提案方式を適用することで，復旧時にサーバ間でやり取りするデータ量を約 80% 削減するなど処理の効率化に責献することができる．