人間の心理と生理に及ぼす水音の影響－人工河川における快い水音づくりを目指して

摘要

近年、人間社会が高度化され、複雑になっていく過程で、過去において存在しなかった様々な音が生まれてきた。 社会基盤の整備に際し、これまでは視覚要素に対する配慮からランドスケープ（景観）が重要視されてきたが、音環境に対する関心も高まり、聴覚要素を考慮したサウンドスケープ（音風景）という概念も生まれ、注目され始めている。 一般的に、人間は自然音を好ましく感じると言われており、せせらぎなどの小川から発生する流水音もその一つである。 さらに最近では、各地で進められている公園整備や河川改修において、親水公園や親水河川が多く造られるようになり、人工的に創り出した流水音を実際に聴く機会も増えてきている。 本研究の最終目標は、こうした親水空間を衝かどや公園あるいは老人施設内に川のせせらぎ音などによって創出する際に必要な基礎資料を得ることである。 そこで、「人間にとって快い水音」の特性を明らかにしようとした。 具体的には、水音を聞くことによって、人間の心理面および生理面において、どのような影響が現れるのかを明らかにしようと試みた。