肝内胆管の微小乳頭状変化を伴った若年性肝内結石症の1例

摘要

症例は23歳，女性。主訴は右季肋部痛。肝機能障害を指摘され当院紹介。腹部CTに て右肝管に2 cm大の石灰化を伴う結石を認め.軽度の右肝内胆管の拡張を認めたが,肝萎縮 は認めなかった。ERCPにて総胆管の拡張や腾胆管合流異常は認めず，拡張した右肝管内に2 cm大の陰影欠損を認めた。若年であり,肝内結石発生の原因を検索するため,経皮経肝胆道 鏡を用いた結石除去および胆管内の観察を行った。右肝管に嵌り込むように脆い黒色の結石を 認めた。砕石後,胆管上皮を観察すると,胆管狭窄は認めず.右肝管は左右肝管分岐部より全 周性に微小な乳頭状変化が広がっていた。同部位の組織生検は,hyperplasiaの病理診断であ り，biliary intraepithelial neoplasia (BilIN)分類にわhyperplasia or regenerative changeに相当する病変と考えられた。20歳代の若年で発症する肝内結石症は極めてまれで, 胆汁うつ滞を生じるような狭窄や閉塞などの変化は認めず，胆管上皮の微小乳頭状変化の結石 形成への関与も疑われた。