区域性の肝内胆管拡張を伴った孤立性肝嚢胞の2例

摘要

孤立性肝嚢胞は一般的には合併症の少ない疾患である。われわれは,孤立性肝嚢胞による肝内胆管の圧緋から区域性の肝内胆管の拡張を来した2症例を経験したので報告する。症例1は87歳の女性,心窩部圧迫感がありUS, CTで肝左葉内側に約6cm径の孤立性嚢胞と左肝内胆管(B2, B3)の拡張を認めた。 胆管造影では嚢胞による中枢側胆管の圧排,狭窄を認め嚢胞硬化術により嚢胞を縮小させ, ERBDで胆管の狭窄と拡張は改善した。 症例2は84歳の男性,急性胆嚢炎で入院したが, US, CTで肝左葉外側に約8 cm径の孤立性嚢胞と左肝内胆管(B_2)の拡張を認めた.ENIiDで胆嚢炎を加療しながら嚢胞硬化術を行い,嚢胞は縮小し胆管拡張は改善した。 孤立性肝嚢胞により肝内胆管拡張を合併する症例があることに今後留意すべき,と考えられた。