4．サイクロトロンの使用実態に関するアンケート調査報告

摘要

【目的·方法】pET用サイクロトロンの廃棄·更新時に放射化した装置や施設の放射線管理は、業務上また法令上大きな問題となってくる．放射線診療の進展の妨げとならない合理的な法整備に向けて，その基礎資料とすべくサイクロトロンの医療利用の実態を把握するためのアンケートを平成19年10月に実施した．【結果】アンケート回収率は73％（124台中91台）であった．自己遮蔽体を装備している装置の陽子加速エネルギーの平均は11．8MeV，装備していない装置は16．1MeVであった．使用時間は，ほとんどの施設が許可証の10％程度であった．許可証の1日最大製造量に対し，実際に製造されている量の割合は18Fで平均15％程度であった．【考察·結論】サイクロトロン運転により生じる中性子は各ポジトロン核種の生成核反応以外にもビームロスなどで発生することが報告されているが，サイクロトロン室内の中性子フルエンス推定のパラメータとして運転時問や核種の生成量の情報は有効である．サイクロトロン施設の放射化生成量を許可証の最大使用時間や最大製造量など条件で推定すると著しい過大評価になるために，運転記録を用いて評価すべきであることが今回の集計結果から明らかになった．