保存期慢性腎不全患者に対するユポユテンペータ投与による腎性貧血改善の心機能に及ぼす効果

摘要

Recombinant human erythropoietin（rHuEPO）の臨床応用が可能となって以来，腎性貧血を呈する慢性腎不全患者に対してさまざまな効果が報告されている。現在本邦では，rHuEPO治療における目標維持Ht値は30％前後とされているが，evidenceを基に作成された欧米のガイドラインでは腎性貧血治療の目標ヘモグロビン（Hb）値（ヘマトクリット（Ht）値）として11～12g/dL（33～36％），さらにはこれ以上に維持することが推奨されている。 一方，保存期慢性腎不全患者（CRF）ではrHuEPOの使用により，血圧上昇や腎機能の増悪が懸念され，特に本邦では目標Ht値を33％以上に維持した際の有用性や腎機能への影響を評価した成績は少ない。 そこで今回腎性貧血を呈するCRFを対象に，rHuEPO（epoetin beta，エポジン~R）を投与し，Ht値を33％以上36％未満（現在の保険診療で認められている最高値）に維持した時の心機能および腎機能への影響について，表1に示す多施設によるGCP，GPMSPにのっとったprospective studyを市販後臨床試験として実施した。