強角膜深層移植術後の結膜上皮の角膜上皮化生

摘要

Allograftの強角膜深層移植術（deep lamel-Iar sclerokeratoplasty， DLSKP）で眼表面が再建された痘痕性角結膜上皮疾患の，術後角膜上皮の性状を検討した．対象は， DLSKP施行後2年以上（平均3年10か月）経過観察した療痕性角結膜上皮症6例6眼である．再建後の角膜上皮細胞をimpression cytologyとfluorescence in situ hybridization（FISH）法で解析した． Impression cytologyを行った3例は，いずれも正常な角膜上皮細胞の形態をしていた． FISH解析したホストとドナーの性が異なる2例の角膜上皮は，両者ともホスト由来の細胞（99．3％と98．8％）であった． DLSKPを含め， allograftを用いた角膜上皮移植で再建される眼表面は，最終的にはホスト由来結膜上皮細胞の角膜上皮化（transdifferentiation）によリ成立している可能性が推定された．