多局所網膜電図正常眼一次核成分波形における局所波形の特徴

摘要

正常眼の多局所網膜電図一次核成分波形を解析した．正常被検者右眼で，サンプリング間隔0．208msec，1回の記録時間を14分34秒とし，多局所網膜電図を9回記録した．再現性は応答密度に比して頂点潜時でよリ良好であった．Nl，P1，N2応答密度は中心部で最も大きく，周辺になるほど小さく，視神経乳頭付近で最も小さかった． Nl， P1頂点潜時は視神経乳頭付近で， N2頂点潜時は中心部で最も長かった．分割加算波形の応答密度は，耳下側網膜と鼻下側網膜との間では有意には相遺せず，耳上側網膜では鼻下側網膜に比し有意に大きく，鼻上側網膜では耳上側網膜に比してさらに有意に大きかった．正常眼多局所網膜電図一次核成分波形において，中心部では応答密度の増大，頂点潜時の延長が，視神経乳頭付近では応答密度の減弱，頂点潜時の延長があった．