十二指腸穿破をきたした右胃大網動脈瘤破裂の1例

摘要

腹部内臓動脈瘤は比較的まれな疾患であり，膵 十二指腸動脈系に発生した症例の報告はさらに少 ない.とりわけ右胃大網動脈瘤は過去本邦において2例が報告されているにすぎない.右胃大綱動 脈瘤による十二指腸穿破をきたした症例に対し経 カテーテル的動脈塞栓術（TAE)を施行し良好な 経過を得たので報告する.1力月前よりタール便を繰り返すも放置していた.前日に近医を受診し，腹部エコー，腹部造影CTで滕頭部に径3 cm大の仮性動脈瘤 を疑わせる腫瘤を認めた.同日，上部消化管内視 鏡検査を施行したが，十二指腸下行脚に少量の凝 血塊を認めるのみで出血は認めなかった.動脈瘤 の消化管穿破の可能性を疑い，当院を紹介され入院となった.