高齢者高血圧の病態と治療－EBMに基づいて

摘要

高血圧は，加齢とともに増加し，本邦でも65歳以上で約60％が高血圧である．高齢者高血圧の病態の特徴として，（1）動脈硬化性変化の進行に伴う収縮期高血圧の増加と，拡張期血圧（DBP）低下に伴う脆圧の増加（これらは心血管病のリスクとなっている），（2）血行動態的特徴として，総末梢血管抵抗の増大，循環血液量，心拍出量の低下と，これに伴う起立性血圧下降の増強や臓器血流量の低下（したがって急準な降庄は臓器血流障害を導く可能性がある），（3）庄受容体反射の障害，レニン·アンジオテンシン系の低下等に伴う血圧日内変動や白衣高血圧の増加，（4）脳，心，腎の合併症の増加，腎血管性高血圧の増加等があげられる．