患者-医師関係での認知心理学患者は医師の説明をどのように理解するのか

摘要

近年の医療においては，患者をパートナーと考え，患者参加(あるいは患者中心)の医療が求められるようになつてきた.そのような医療を進めていく上で重要なのが，患者-医師間のコミュニケ一ションである.とりわけ,医療の専門家である医師から患者に対する「説明」は， 医療情報を共有する上で極めて重要な役割を果たす.しかし，実際の医療場面で医師の説明が医師の意図通り正確に患者に伝わっているという保証はない.そもそも医師と患者とでは思考ゃ認識の仕方が異なっており，すれちがいが生じやすい.ただ，医師にとって必要なことは，患者とまったく同じ思考や認識ができるようになることではなく，患者の情報認知の特徴を理解し， それを知ったうえでコミュニケーションを図ることではないだろうか.