腎機能への影響を考え抗ヘルぺスウィルス薬内服療法を変更した帯状疱疹の1例

摘要

68歳，女性（身長142cm)。初診の2日前より右臀部から下肢に紅色の皮疹出現。近医内 科にて帯状疱疹の診断でバラシクロビル塩酸塩（VACV) lOOOmg,1日3回を4日分処方 された。その後，皮疹が拡大してきたため皮膚科専門医の受診を希望され当院受診。紅斑 を伴う水疱と軽微な疼痛を認め，ファム.シクロビル(FCV) 500mgを1日3回およぴメコ バラミン500〃gを1日3回，2日分処方した。また，患者の年齢と身長を考慮し血液.生化 学検査を実施し，水分摂取を促し2日後再診とした。初診時の臨床検査でCr1.62mg/dL, BUN 29mg/dL, CLcr 26.7mL/minであったため，FCV 500mgを1日1回に減量した。そ の後，皮疹の新生はなく，疼痛も消失した。約1力月後の腎機能に関する臨床検査値はCr 0.75mg/dL, BUN 16.2mg/dLであり，腎機能の改善を認めた。今回，腎機能障害の発現率 が低く，疼痛に対する効果も高いFCVに変更するとともに，血液?生化学検査後迅速に減 量し，併用薬にも注意したことが，重篤な腎障害を生じることなく症状の改善に至った症 例と思われた。