甲状腺ホルモン不応症の臨床像と動物モデル

摘要

甲状腺ホルモンは，その活性型であるトリヨードサイロニン（T_3）が核内に存在する甲状腺ホルモン受容体（TR）と結合することにより発揮され，生体の発生，分化，エネルギー代謝調節に不可欠である。 TRをコードする遺伝子には第17染色体に位置するTRapha遺伝子と第3染色体に位置するTRbeta遺伝子があり，図1に示すごとく，それぞれの遺伝子からTRalpha1，TRdeltaalpha1，TRalpha2，TRdeltaalpha2，TRalpha3とTRbeta1，TRbeta2，TRbeta3，TRdeltabeta3が産生される1）。 この中のTRdeltaalpha1，TRalpha2，TRdeltaalpha2，TRalpha3にはT3結合能がないため，TRとしての活性はないが，それ以外のアイソフォームのTR活性はin vitroでの検討では大きな差異は認められていない。