慢性閉塞性肺疾患の急性増悪に対するgarenoxacmの臨床効果

摘要

慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease ; COPD)の患者数は増加傾向にある。その急性増悪は予後を著しく悪化させるイベントであり,社会的負担は大きい。COPDの急性増悪には細菌感染が関与する可能性も考えられ,抗菌薬の有用性が示唆される。そこでわれわれは,呼吸器感染症の主要起炎菌に強い抗菌力を示すgarenoxacm(GRNX ;ジェニナック)のCOPD急性増悪に対する効果を検討した.2008年4月-2009年4月の期間に,群馬大学医学部附属病院呼吸器·アレルギー内科または独立行政法人国立病院機構沼田病院にてCOPDと診断され通院中の患者で,急性増悪と判断された患者を対象に, GRNX投与による有用性を検討した。1.GRNXは,原則として7日間投与した。患者には体温,咳嗽,喀痰量,喀痰色調,QOLについて, GRNX投与開始から14日間毎日治療日誌に記入を依頼し,経目的変化を評価し有効性を判定した。2.解析対象症例は15例で,対象患者の平均年齢は,70.7±6.0歳,COPDの重症度は「軽症」5例「中等症」 3例, 「重症」 7例であった。3.評価可能な15例についての有効率は93.3%であり,体温,咳嗽,喀痰量,喀痰色調の改善率も良好であった。また,治療日誌より評価しえたQOLの改善も良好で,白血球数,CRPも有意に改善した(P<0.001).4.細菌学的検討は11例で実施可能であった。PISP (Penicillin-intermediate resistant S pneumoniae)が2例,PSSP (Penicillin-susceptible S. pneumoniae), BLNAR (beta-lactamase-nonproducing ABPC resistant H. influenzae) , M. catarrhalis, P. aeruginosaがそれぞれ1例ずつ分離同定された。