ヒト血清アルブミン製剤の国内製品および輸入製品の品質比較

摘要

ヒト血清アルブミン製剤の国内製品(献血由来) 2品目と輸入製品4品目の品質に関して,アルブミン含量および混入物含量等の観点から比較検討した。 その結果,輸入製品の純度は95.5-96.(と基準値(96%以上)許容の限界レベルであった。 国内製品は高純度(97.9および98.8%)であり,それに伴いアルブミン含量も国内製品の方が有意に高かった。 輸入製品は, 1瓶(25%50mL)当たりにアルブミン以外の蛋白質を0.40-0.55g含み,α_1-acid glycoprotein, α_1-antitrypsin, α_2-HS-glycoproteinおよびhaptoglobin等が検出された。特に,免疫機能低下作用を有するα_1-acid glycoproteinは,国内製品では検出限界以下であったのに対し,輸入製品では全品目に高量含まれていた。 また,輸入製品の中には,真菌感染症の診断に支障を来すβ-D-グルカンの値や,腎機絶低下患者で蓄積性が問題となるアルミニウムの含量が高値を示すものがあった。 今回の結果は臨床上重要であり,少なくとも試験に供した品目においては,ヒト血清アルブミン製剤の輸入製品は,国内製品に比べアルブミン精製度が低く品質的に劣ることが判明した。 血液新法の基本理念にも鑑み,アルブミン製剤の適正使用は勿論のこと,製剤の選定においても再考を要するものと思われる。