Partially Reversible Proton Pump lnhibitor,Rabeprazoleの薬理学的特性

摘要

Proton Pump lnhibitor(PPI)であるrabeprazoleの胃酸分泌抑制作用に閲し,既存のPPIと比較検討した。 PPIはrabeprazole, omeprazole,lansoprazoleを用いた。 ブタ胃粘膜より調整したH~+,K~+-ATPaseに対しrabeprazoleは濃度依存的に阻害し,そのIC_(50)値は2.6×10~(-7)Mであり,omeprazole(2.8×10~(-6)M),lansoprazole(2.7×10~(-6)M)に比べ約10倍活性が強かった。 一方,ラットにおけるhistamine刺激胃酸分泌に対するED_(50)値は,rabeprazoleが1.3mg/kg(i.d.),omeprazole 2.4mg/kg,lansoprazole 1.1mg/kgであった。 また,慢性胃瘻犬においてrabeprazoleはhistamine刺激胃酸分泌に対し0.031mg/kg(i.d.)から用量依存的に抑制し,ED_(50)値は0.062mg/kgであり,omeprazole 0.098mg/kg,lansoprazole 0.174mg/kgであった。 また,慢性胃瘻犬においてpentagastrin刺激胃酸分泌を完全に抑制する4mg/kg用量(i.d.)で,rabeprazoleの抑制効果は48時間で回復したが,omeprazole,lansoprazoleは72時間を要した。 また,ウサギ胃腺標本でのrabeprazoleによる胃酸分泌抑制作用は,glutathioneにより回復した。さらに,3種PPIの臨床用量は,慢性胃瘻犬における有効量と良い相関を示した。 上記結果から,rabeprazoleのH~+,K~+-ATPase阻害活性および慢性胃瘻犬での酸分泌抑制活性は,omeprazole,lansoprazoleより強く,また回復性に優れる第2世代のPPIであることが明らかとなった。