閉経後骨粗鬆症の椎体圧迫骨折の存在を推定できる，身長低下量カットオフ値の検討

摘要

目的：閉経後骨粗鬆症の早期治療のために，一般人にもわかりやすい指標が必要である。患者自身で測定可能な身長低下量（delta身長）と椎体圧迫骨折との関係を検討し，椎体圧迫骨折が1箇所以上ある可能性があるdelta身長のカットオフ値を検討した。 方法：閉経後骨租髭症と診断した患者105名（平均年齢77．5+-5．8歳）を対象に，20歳時と比較したdelta身長を調査し，椎体圧迫骨折との関連性を検討した。 結果：delta身長は，椎体圧迫骨折数や骨折Gradeの合計値と，有意な負の相関を示した（各々p＜0．001，r＝－0．57，p＜0．001，r＝－0．54）。 椎体圧迫骨折がない群（N＝49）のdelta身長の平均値（cm）は－3．80+-1．94であるのに対し，椎体圧迫骨折1箇所ある群（N＝20），2箇所の群（N＝19），3箇所以上の群（N＝17）では，各々－4．44+-2．10（p＝0．232），－5．39+-2．99（p＝0．012），P8．29+-3．46（p＜0．001）となった。 骨折Grade判定別に，骨折があると判定された症例の出現頻度を1cm刻みで検討した結果，delta身長が－4cm以上の場合にどのGrade判定の骨折であっても，椎体圧迫骨折の存在を有意に示した。 結論：身長低下は明らかに骨租馨症の早期診断に有用であり，特にdelta身長が－4cm以上ある場合は，椎体圧迫骨折が1箇所以上ある可能性が有意に高い。 この－4cmという数値は，患者自身が骨粗餐症検査を積極的に受けるきっかけの指標となり得る。