タキソール注の投与に用いられる点滴用器具(第3報) 可塑剤にTOTM 〔Tris (2-ethylhexyl) trimellitate〕を用いたポリ塩化ビニ(PVC)製輸液セットと1mL当りの滴数

摘要

タキソール注希釈液を点滴静注する際,輸液セット等PVC製輸注用器具を用いると可塑剤のDEHP（フタル酸ジュチルヘキシル)が溶出するので,PB (ポリプタジエン)などPVC以外の素材を用いた器具が使用されている。 今回, DEHPの代りにTOTM 〔トリメリット酸トリ(2-エチルヘキシル)〕を可塑剤に用いたPVC製輸液セットが発売されたので,タキソール注希釈液への可塑剤の溶出とバクリタキセルの収着の有無を確かめるため,ポール輸液フィルターELD,インターリンクⅠ.Ⅴ.アクセスシステム輸液セットを用いて試験した。 その結果,2製品とも対照としたDEHPを可塑剤とした従来のPVC製のものではDEHPの溶出が認められたが,TOTMを可塑剤としたPVC製ではDEHP,TOTMのいずれも検出されなかった。パクリタキセルの収着はいずれの製品も認められない。 次に,現在使用されているnonPVC製の輸液セットであるフィルター付きのテルフュージョン輸液セット,ニプロフィルタ-セット〈パクリタキセル用〉,JMS輸液セット, JMSニトログリセリン用輸液セット,ピー·ブラウンプロセットとTOTM-PVC製のポール輸液フィルターELDおよびインターリンクⅠ.Ⅴ.アクセスシステム輸液セット(20滴タイプ,15滴タイプ)の8種の輸液セットについて,タキソール注希釈液(50mL/生理食塩液500mL,20mL/生理食塩液250mL)での1 mL当りの滴数を測定した。