長期の経過を経て高度両心不全にて死亡した不整脈原性右室心筋症の1例

摘要

症例76歳，女性. 主訴動悸，呼吸困難.既往歴72歳原発性胆汁性肝硬変，75歳橋本病. 家族歴特記すべき事項なし，突然死なし. 生活歴特記事項なし.現病歴幼少時より運動時や夜間に呼吸困難を自 覚し，18歳時に胸部X線写真で心拡大を指摘され た.45歳時家事中に動悸発作があり入院加療した (詳細不明）.以後時々労作時に胸痛を自覚し，近医 で精査され，不整脈，弁膜症，慢性心不全を指摘さ れた.72歳時11月当院当科紹介受診し，不整脈原 性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy ;ARVC) が疑われてMRIを施行したが，明 らかな所見は認めなかった.75歳時10月心不全で 当科入院加療を行い，心電図上epsilon波，wide ORS, 心臓超音波検査で右室の拡張と右室駆出分画低下， 24時間心電図で心室性期外収縮10,283/日を認めて ARVCと診断された.