偽中皮腫性肺癌（Pseudomesotheliomatous Carcinoma of the Lung）が疑われるl剖検例

摘要

患者は50歳，女性．咳嗽,喀痰，前胸部痛，労作時呼服困難を主訴として来院．胸部X線写真にて右肺を被覆するように胸膜のびまん性の不整肥厚が見い出され，生検にて低分化腺癌の診断をうけるも呼吸困難が増強し，症状発現から8カ月後に死亡した．剖検にて，右肺は胸膜に沿って進展した灰白色の凹凸不整を呈する腫瘍によりとり囲まれており，腫瘍細胞はmS，アルシアン青陽性（ヒアルロニダーゼ抵抗性），免疫染色にてCEA．CA125，EMA，VU－1D9陽性，HBME－1，トロンポモデュリン陰性を呈したことより，偽中皮腫性肺癌と疑われた．本例と38既報告例につき文献的考察を行ったところ，90％は男性例で，75％は喫煙歴を有し，33％に石綿あるいは鉄粉暴露の既往をみた．