第9次成人T細胞白血病/リンパ腫（ATL）全国実態調査の報告 T·Bリンパ系腫瘍研究グループ

摘要

ヒト造血器のがんである成人T細胞白血病·リンパ腫（ATL）はヒト白血病ウイルスⅠ型（HTLV－Ⅰ）を原因ウイルスとして発症する．世界的流行分布をみると大きく3集団に集積していることが明らかとなった．中央アフリカや中南米の黒人に分布しているアフロイド集団，アジア地域やアンデス地域のモンゴロイド集団，大洋州のオーストラロイド集団である．アジア地域ではわが国で特異的に分布しており，また臨床血液学的な診断技術や精度の高さを考慮すると本邦におけるATL患者の発生状況とその経時的変動を把握することは日本のATL対策にとって重要であるばかりでなく，世界のATLの臨床研究や基礎研究にも大いに貢献しうると考える．