オーバービュー

摘要

本特集では播種性血管内凝固症候群（DIC),特発性 血小板減少性紫斑病（ITP)，血栓性血小板減少性紫斑 病（TTP),後天性凝固インヒビ夕一について，それぞ れの分野の第一人者に執筆していただいた。 1.DIC:我が国が長い研究の歴史を持ち世界をリードす る分野である。診断に際して1983年に作成された 「厚生省DIC診断基準」が今日なお汎用されている が，2001年「急性疾患DIC診断基準」が新たに作 成され，他にも国際血栓止血学会（ISTH, 2001年） イギリス（2009年)，イタリア（2012年）の診断基 準が公表され未だに一本化されていない。治療法は 基礎疾患の治療，補充療法（血小板，新鮮凍結血漿 など），抗凝固療法の3つに集約されるが，今日なお 質の高い「evidence」に乏しいためガイドラインの 作成自体が困難で，補充療法やへパリンの有効性さ え確たるevidenceがないにも関わらず，他の抗凝固 剤ではへパリンを対照とした臨床研究が多い。いず れにしても国際的な診断基準，治療ガイドラインの 早期作成が望まれる。