副腎機能からみた男性更年期

摘要

わが国は世界でもっとも急速な勢いで高齢化の道を歩んでおり,高齢者の健康管理が重要になっている．副腎アンドロゲンであるDHEAやDHEA－Sの血中レベルは20～30歳代までをピークに,その後徐々に減少し，60～70歳代ではピーク時の20～30％まで低下する．DHEA(S）は抗肥滿,抗糖尿病,抗動脈硬化,抗腫瘍効果など，いわゆる成人病や高齢者に多く発症する病態に対し有効であるといわれている．実際，DHEA（S）の投与が体脂肪の減少や血中脂質の低下，骨塩量の増加，高齢者のsense of well-beingの有意な改善を導くとの報告がある．DHEA（S）の効果 作用は強力でなく，即効性でもないが，副作用もみるべきものは少なく，補充療法としては優れていると思われる．今後，さらなる長期的 詳細な検討のもと，DHEA補充療法を積極的に考えていく必要がある．