指尖部の難治性小潰瘍 全身性硬化症

摘要

指尖部の難治性小潰瘍は,手指の微小循環障害に起因すると考えられ,皮膚硬化やRaynaud現象が先行するものは膠原病を疑う.特に頻度が高く,症状が強いのは全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc)である.自験例は56歳,男性.初診の約3年前から冬期に増悪する両手指の変色があり,患者は"しもやげ"だと思っていた.数カ月前から指先に傷ができ,治らないとのことで当科受診.後からの詳細な病歴聴取ではRaynaud現象が頻回に出現しており,数年前からときおり微熱が続き,体がだるく疲れやすいなどの不定愁訴のため,退職を余儀なくされている.医療機関に何度も受診しているが,そのつど"かぜ"との診断を受けていた.