降圧薬としてのβ遮断薬-大規模臨床試験に基づきオーダーメイド医療をめざす-

摘要

β遮断薬は利尿薬とともにエビデンスが豊富な降圧薬で,日本をはじめ世界の高血圧治療ガイドラインにおいて高血圧治療の第一選択薬に位置づけられている. β遮断薬の有用性は最近のSTOP-Hypertension 2やuKPDSといった大規模臨床試験でも再確認された. β遮断薬の積極的な適応は頻脈性不整脈や虚血性心疾患(心筋梗塞後や狭心症)を有する高血圧患者であり,付加的薬理作用による使い分けも可能である.その一方で,降圧薬治療に関するエビデンスは欧米人を対象とした大規模臨沫試験に基づくものが大部分で,これを日本人に適用する際には,人種差に加え,ライフスタイルや他の背景因子をつねに考慮する必要がある.近年,肝や消化管の薬物代謝や吸収にかかわる酵素であるP450を介する薬物相互作用や,薬物代謝酵素の遺伝子多型にょる薬物動艶薬効の差異が明らかにされつつあり, β遮断薬ではこれらの影響を受ける脂溶性薬剤について注意を要する.