HIV，インフルエンザにおけるプロテアーゼ阻害薬の臨床応用

摘要

HIVとインフルエンザウイルスでは感染の進展過程においてプロテアーゼの働きが重要な役割を果たしている．HIV治療においてはすでにプロテアーゼ阻害薬が臨床応用されており，同系統薬を含む多割併用治療により死亡率の低下や日和見感染症の発症頻度の減少が認められ，本感染症の臨床を大きく変化させたといえる．一方，インフルエンザウイルス感染においても，宿主由来のMPほよばれるプロテアーゼインヒビターがウイルスの感染性獲得に対し抑制的に働くことが見出されており，in vitroや動物感染モデルにおいても治療効果のあることが確かめられている．インフルエンザウイルス感染においては，細菌由来のプロテアーゼも病態に関与していることが明らかになっている．今後詳細なメカニズムが解明されることで，臨床応用への可能性が期待される．