粘膜免疫におけるgamma sigma-T細胞の役割

摘要

gamma sigma-T細胞は腸管などの粘膜上皮問に数多く存在するリンパ球である．αβ－T細胞は胸腺で分化して末梢リンパ組織へ移行するのに対し，腸管上皮間のCD8αα~＋gamma sigma-T細胞は胸腺外（おそらく腸管局所）で分化する．また，αβ－T細胞と異なり．gamma sigma-T細胞はMHC分子非拘束性に外来抗原を認識したり，ストレスにより発現が増強する自己抗原を認識する．これらの特徴は，普段からさまざまな外来抗原と接している粘膜での防御にgamma sigma-T細胞が重要な働きをすることを示しており，寄生虫やウイルスの腸管感染に対してgamma sigma-T細胞は防御的に働くことが知られている．一方，gamma sigma-T細胞は炎症性腸疾患やアレルギーの発症を増悪することがあり，個体の恒常性を維持するうえでgamma sigma-T細胞の制御が重要と考えられる．