アップルベクテンの癌抑制作用と活性酸素抑制

摘要

アップルペクチン（AP）の生理的活性の特徴は，静菌作用がシトラスペクチン（CP）より優れ，アゾキシメタン大腸癌発生率でも,10％AP群70．0％,20％AP群45％と抑制され，20％CP群70．0％に対して，20％AP群は42．8％とCPより低発生率である．腫瘍平均個数でも，AP群0.6個,CP群1.6個と有意な減少を認める．大腸粘膜PGE_2量は，対照群422.1ng／g,AP群166．6ng／gと低下し，門脈血PGE_2量でも対照群0.81ng／mlに対し.10％AP群0.54ng／ml,20％AP群0.30ng／mlと低下した．遠位大腸粘膜において特にPGE_2が低下していた．ラット肝転移モデルでは転移形成率が有意に抑制され，転移結節数でもAP群16．2個と対照群56．3個の約29％にとどまった.アップルペクチンを平均重合度別にLL（26.6），L（19．9），M（14．6），S（4．1）の4群に分け,S分画を121℃30分間加熱処理し，O_2－消去能とSOD様活性及び OH消去能測定した．低分子S分画に強い消去活性が認められ，加熱処理されるとより増強し，重合度による分子量に左右されていた．